『魔笛』字幕

今日は、昨日に引き続きオペラ「魔笛」鑑賞。会場は渋谷のオーチャードホール。「鑑賞」というか、自分が字幕を担当させていただいたオペラの検証(?)。

実は昨日のよこすか芸術劇場公演を観て、いくつか気になった点があった。(客席で暗がりの中、手帳に気になる点を手探りで殴り書きした。)
舞台は「生き物」なので、役者が違えば台詞のスピードも違うし、動き方も違う。また、必ずしも台本どおりの舞台セットというわけではないので、細かく見ていると台詞の内容と舞台上で目に見えるものが矛盾していたりする。すべて完璧に合わせようというのはしょせん無理な話だが、なるべく舞台鑑賞の邪魔にならないようにと思うと「読むのに時間がかかりすぎる字幕」「舞台で見えていることと違うことを言っている字幕」は、あまりよろしくない。
私が工夫して当てていたつもりの日本語訳でも、実際の尺に合わせると分量が多すぎたり、字幕スクリーン上の見た目としては読みづらかったりするためだろう、字幕操作者が現場の判断でカットしたり漢字に変換したり、場合によっては別の語を当てたりして編集していた箇所がかなりあった。また、原語どおりの訳ではあるが、舞台上の歌手の動きと合わせて読むとおかしい、という箇所もあった。
そうしたことを舞台と字幕を見比べながら確かめ、昨夜のうちに「ここは舞台と矛盾しているのでこう変えてほしい」「編集するのならこっちの訳語にしてほしい」などと細かく依頼メールをしたためながら「面倒くさい翻訳者だと嫌われたらどうしよう……」とウジウジと悩みまくり。とにかく私はヘタレなので。
でも、この仕事を紹介してくださったべテランオペラ翻訳者の大先輩の「これからも何度も上演される演目だし、気になることは全部言っておく方がよい」という言葉に後押しされ、「言いづらいからって気になることを見過ごすようではプロとして失格!」と自分を叱咤。しつこくない程度に理由を書き添えて「すぐにでなくてもいいから、いずれ修正ご検討ください」と依頼した。
結果……今日の公演時には、私がお願いした点をほぼ全て反映させてくれた字幕が出た!これは嬉しかった。心の中で合掌。
今日の公演には翻訳者の友人たちが来てくれていたので、自分なりに最善を尽くした字幕を見てもらい、舞台を楽しんでもらえて本当に良かった。
昨日のキャストと今日のキャストは全然違い、演技も違うし動きも違うので、今日は今日でまた「あれあれ?」と焦った箇所がいくつかあったのだが、でも大勢には問題ないよう、字幕操作は当意即妙に対応してくれていた。再度心の中で合掌、敬礼。パパゲーノが食事の場面で「日本のごちそうを食べよう!」って助六寿司を箸で食べてみたり、「イチ」「ニッ」「二ーテンゴ(2.5)」「サン」と日本語で数えてみたり……と、日本公演向けのサービスも盛り込まれ、客席を喜ばせていた。(こうした、オリジナルには無い場面の字幕追加については、字幕操作者さんが対応。)

終演後は、両親をタクシーに乗せて見送った後、友人二人と一緒に打ち上げ(?!)。ビールの美味しいお店で、ビール以外にもかなりたらふく食べた後、場所を変えてコーヒー&ケーキ。どんだけ食べるんだよ?!というくらい食べまくり、喋りまくり。

二人が「楽しかったよ」「台詞、言葉遣いがメリハリが効いていて良かったよ」と言ってくれたのが一番嬉しかった。
ありがとうございました。
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by oliva16 | 2013-10-14 00:44 | しごと | Trackback | Comments(2)

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Commented by milletti_naoko at 2013-10-14 02:34
Olivaさん、ご自分の仕事が他の人がオペラを鑑賞する助けになるお披露目の機会、どきどきもされたと思うのですが、ちゃんとメモを取って、業者の方にお願いされたのもすばらしいし、それをちゃんと聞いて直してくれる業者さんもありがたいですね。

何でも熱心に取り組まれ、いい訳をされるOlivaさんだからこそ、大先輩もお仕事ぶりや力量、熱心さやていねいさを知っていて、これはOlivaさんと、勧めてくださってのでしょう。すてきなご縁で世界が広がり、深まっていくのもいいですね。ご両親もさぞかし誇らしく、ご友人も楽しんでくださったことでしょう。おつかれさまでした。
Commented by oliva16 at 2013-10-16 18:40
ありがとうございます。結局3回舞台を観たのですが、毎回台詞や演技がちょっとずつ違うので、それに合わせて字幕をサッと出す操作ノ人は本当に気が抜けなくて大変だろうと思いました。正直、プラハの人たちはかなりアクセントの強いドイツ語で聞き取りにくく、私も字幕がないとわからなかっただろうと思います(笑)。