挺身隊

現在84歳の伯母は、女学校を出た後「挺身隊」なるものに参加して、爆弾を作っている工場で働いていた。「一人だけ事務に回されて、帳簿をつけていたんだけど暇なのよ…。」(伯母は学生時代、相当に成績優秀だったらしいので、事務方に行かされたのではないだろうか。)

「最後の方になると、工場の外に置いてあった弾の材料がなくなって。そのうち、停めてあった軍艦もなくなって。ああ、これは日本は負けるな、と思ってたらホントに負けちゃった。もちろん負けるなんて口に出して言うと大変なことになるから、思っていただけだけどね。」
「とにかく、勝っても負けても、戦争なんて絶対にするもんじゃない。戦争は破壊でしかないんだから。」
「今の若い人にとっては歴史上の事件でしかないだろうけど、私らにとっては記憶。でも私らにとって明治時代の話は歴史上の事件だけれど、おばあちゃん(伯母の母親=私の祖母)にとっては記憶なんだからねぇ。考えてみたら歴史と記憶って近いよ。」

実際に体験した人の口調には嘘や理屈や建前が一切無い。「兵器を作る手伝いをするのはどんな気分だったの。よくないことだと思わなかった?」などと軽々しく聞けやしない。

モノがあふれている現代の世の中、「モノを思い切って捨てる」勧めを説いた本が売れている世の中で、輪ゴム一本捨てず、折り込みチラシは四つ切にしてメモ用紙にしている伯母。街で配られているティッシュや粗品でもらったタオル類を捨てられず、かといって使うこともせずに段ボール一杯に溜め込んでしまっていた伯母。「活用しない方がよっぽどもったない。しまっているモノも収納スペースも無駄!」と、つい苛立ちを感じていた自分をちょっぴり反省した。「今は昔と違う!」と思っていたけれど、そして実際にそう思っているけれど、モノの無い時代を経験した伯母には「思い切って捨てる」という選択肢はないのだろう。新しい考え方、やり方の方が正しいとは限らないし…ただ、戦争は絶対、絶対に間違っている。絶対ダメ。
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by oliva16 | 2010-08-27 22:45