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代官山蔦谷書店でのミニトーク(奥泉光×鴻巣友季子)

昨夜は代官山に、奥泉光さんの新刊「虫樹音楽集」に関するミニトークイベントを聴きに行きました。

書店が主催するこうしたイベントに行くのは初めて。奥泉さんの著作も読んだことがなかったので、新刊だけはとりあえず図書館で借りて読んでいこうと思っていたのに、なかなか構成の複雑な本で私にはとっつきにくく、途中までしか読めないままイベント当日を迎えてしまいました。

この日の進行役の鴻巣先生が開口一番「この本、どのページをとっても非常に面白くて大好きです!」とおっしゃるのには「さすがー!」と内心下を巻きました。もちろん自分とはレベルが違いすぎるので、比べるつもりはないのだけれど…各章で語り手が代わり、また時間の設定も変わるという構成の小説はこれまでほとんど読んだことがない私には「ひたすら難解」。

でも、ネタばれギリギリ(ご本人曰く)のところで、「虫樹〜」のどの箇所が何を引用しているか、などを次から次へとお話しくださり、おかげで私も続きを読むのが楽しみになりました。

最後には奥泉さんのフルートに合わせて鴻巣先生の朗読。朗読と言っても真面目くさったものではなく、作品の抜粋を文中人物?になりかわって表情豊かに聴かせてくださいました。
印象的だったのは、奥泉さんの「小説はこま切れにされてもいいんです」という言葉。いや、言葉そのものは別の言い方だったかもしれないけれど。要するに、小説はどこをどう取り上げても面白くなければならない、そうです。何が現実で何が夢かは本当はわからない、という話も面白く聞きました。
翻訳演習で出会ったボルヘス、そしてイタリア語の授業で読んでいるブッツァーティにも繋がるような話…。

いろいろな書物に導いてくださり、本の読み方を教えてくださる鴻巣先生には本当に感謝で一杯です。

by oliva16 | 2012-11-24 09:33